不定期でUnlimitedからJapanese Career Women(以下、JCW)のメンバーにインタビューする企画を始めます!
インタビューを通して、海外留学や就職などを経験されたリアルな日本人の存在を伝えることで、学生が自身の将来の選択肢を広げる機会にすること、JCWとUnlimitedの繋がりを深めることが目標です。
将来海外で活躍したい学生の1人として、インタビュアーの津田塾大学国際関係学科のUnlimitedメンバー2人が根ほり葉ほり聞いていきます!ぜひキャリアプランの参考に、ご閲覧ください。
北村祐子さん
津田塾大学国際関係学科卒業後、ルイジアナ州の大学院へ進学。その後、現在に至るまで、アメリカの大手日系企業で勤務中。ディレクターとして半導体関係の部品サプライチェーン業務に関わっている。
初回は、JCWのプレジデントを務めている、北村祐子さんにインタビュー!
Unlimited、JCW、SNSで質問を募集した結果、今回は主に学生生活、ご自身、キャリア・将来、JCWについてお聞きします。アメリカで22年間も活躍されてるその秘訣はいったいなんでしょうか?
津田塾大学で、思い出に残っている出来事、もしくは今でも役立っている経験を1つ教えてください
思い出に残っている出来事として、授業はもちろんのこと、日々の生活や友達との出来事を思い返すと、友達や同じゼミの人と津田塾大学の6号館に宿泊したことを覚えています。当時、6号館(以下、画像参照)は津田塾大学の奥の方に建てられたばかりで、内装もピカピカで宿泊もできる施設だったんですね。少しでも何か機会があれば、ゼミのみんなでお泊り会もしていました。仲の良い友達5,6人で将来のことや最近の恋模様を話してみたりとたわいのないことをやってみたり。6号館で過ごした日々がすごく思い出に残っています。特に、同じゼミを受けている人の中にはまだ話したことのない人もいましたが、布団を川の字にして一晩ずっと話していると、自然と色んな人と知り合えました。
今でも役立っていると思うことは、同じ国際関係学科の友達やクラスメイトからの影響で視野が変わったことです。入学時に仲良くなった友人の1人で、高校卒業後の春休みに大人の引率なしでヨーロッパに旅行した人がいました。当時ドメスティックな活動に目を向けていた私(北村さん)は、彼女のフットワークの軽さや広い視野に衝撃を受け、同時に自身も海外に目を向けていくべきなんだなと感じたことは今でも役立っているなと思います。
どのような経緯で留学に至ったのでしょうか?
先ほどの質問とも重なりますが、クラスメイトや友達の影響が大きいです。
周りに「将来は海外で働いてみたい!」、「留学してみたい」という人が多いことに驚き、自分も将来のことを考えなきゃというプレッシャーのような思いを抱き始めたのがきっかけです。少し考えてすぐに留学に行く決心はできなかったので、まずは海外旅行にチャレンジすることから始めようと思いました。1年生の冬休みに、ロンドンとパリに行ける1週間の旅行プランに申し込みました。参加してみて、自身の英語力にショックを受けました。中学生から英語もそれなりに勉強していたし、中学生の頃にシンガポールに住んでいた経験(ほとんど英語は使わなかったけど)があるにも関わらず、全然英語ができませんでした。「これではダメだ。」と感じ、英語力向上の方法を考えて、手っ取り早く「留学」をすることにしました。
(インタビュアー(国際関係学科3年):留学に行くきっかけについても、周りのご友人の影響が大きかったんですね。)
ー そうなんです。周りの友達が「行く!」と言っていて、私(北村さん)も留学に行くこ
とにしたけれど、結局行くのは私(北村さん)だけとわかりちょっとビックリしまし
た。その時、申込もビザ取得も終えていたので、「よし、これも何かの縁だから行っ
てみよう!」と思うことにしました。
(インタビュアー(国際関係学科3年):実際に留学に行った人は、予想より少なかったんですね。)
ー そうですね。でも、発言してそれを実行するのはなかなかハードル高いですからね。
(インタビュアー(国際関係学科3年):私も、留学に行きたいとずっと言っていたのに、気づいたら3年生になってました。) ー まあ、でも留学が全てではないですからね。
大人になって会社員として海外駐在や研修に行くことを希望したり、大学卒業後の1年
間にワーキングホリデーにチャレンジするとか、「これを逃したら一生チャンスこな
い」ということはないと思うので大丈夫だと思います。
将来の夢とその理由を教えてください
色々考えてはいるのですが、そのうちの1つは「いつか本を出してみたいな」というものです。出版するための方法として、自費出版と商業出版というのがあり、私は後者の商業出版をやってみたいと思っています。商業出版というのは、出版社さんから出版のお声がけいただいて、印税が入るという仕組みです。
最近、紙の本が少なくなってきていて、更に本も中々売れない「冬に時代」とも言われていますが、いずれは女子高生や女子大生とか、「いつか海外で働いてみたい、体験してみたい」という皆さんに、「大丈夫、頑張ってね」というメッセージを込めた本を出してみたいな、いつかできたらいいなと思っています。
やりたいやりたいと発信することで、タイミングを引き寄せたいですね。
(インタビュアー(国際関係学科3年):出版された際は、是非大学にも置いていただけると嬉しいです。私を始めとする海外に興味のある学生にとってとても関心のある内容だと思います。)
1日はどのように過ごしているのでしょうか?
基本的に、朝8時半から夕方の6時半までがお仕事の時間になりますね。今は、月曜日と金曜日の週2がテレワークで、週の半ばの3日は出勤しています。新型コロナウイルス流行前は、当然のように週5日間、出勤していたのですが、今はハイブリッドのような形になっています。
また、日系企業に勤めていることから、どうしても日本の本社やアジアのお客さんと話すことも多いです。その時は時差の関係で、夕方6時から7時、もしくは7時から8時に会議が入ったりします。でも毎日あるわけではなく、あっても週に1度ですね。
あとは、テレワークというやり方もポピュラーになったので、例えば、18時になったのでパソコンを持って帰宅し、夕飯の後にお仕事を行うなど、結構フレキシブルにできています。夜11時や12時までやらなきゃ仕事が終わらない、ということはないです。ただ自分が勤めている会社の関係かもしれませんが、会議が多いんですね。
(以下、北村さんのカレンダーイメージ図。実際の北村さんのカレンダーを拝見して作成。)
Focus timeっていうのが自動的に入っていて、チャットの通知が来ないんですね。大体の会議は、朝の10時から12時、お昼にちょっと、あと午後に入っていたりいなかったり。夜は、日本との会議が入る時は19時からとか、こんな感じです。
カレンダーだけ見ると忙しそうって思うかもしれませんが、会議は多いですね。そんな日々を送っております。
インタビュアー(国際関係学科3年):実際に拝見して、想像以上に予定ぎっしりなカレンダーに驚きました…。)
ー みなさんも授業が沢山入っていたり部活動やバイトもあると思うので、中身は違うけ
ど忙しいのは一緒かなと思います。
▲北村さんの勤務の様子
今まで勤務中に印象的だったことを1つ教えてください
私は今の会社に現地採用としてアメリカで雇ってもらったのですが、
「逆出向」という形でアメリカから日本に行く機会があり、その時のことが印象に残っています。日本に3年半駐在したのですが、その時にお偉いさんたちの集まりがありました。私のようなレベルの人が行くようなものではなかったのですが、アメリカ人の上司に「せっかくの機会だから、私(北村さん)も集まりに来てはどうか?」と声をかけていただいて、自分の名刺も用意して参加することにしました。
ミーティングって大体、話し始める前に1列に並んで名刺交換をして行くのですが、その時も同様に名刺交換をしていて、隣の上司の名刺交換が終わって「次は私だ。」と思って準備していました。そうしたら、そのお偉いさんが私の手前でくるっと振り返ってそのままどこかに行ってしまったんですね。アメリカ人の上司が「北村さんもOOマネージャーで出席しています。」と伝えたら、「あ、そうなの?」と言われ、やっと名刺交換をしてもらえました。女性がお茶汲みとか以外でこの会議室にいるはずがないと思われていたのかな。名刺交換をするレベルの女性がいるわけがないという空気だったんですね。この出来事が私はすごいショックで「その人を見返したい!」と思いました。
この出来事から7、8年経ちますが、女性でもマネージャーの人もいて、その人達がお偉いさんの出る会議にも出席したりすることを上の立場の人にも知っておいて欲しいなと思います。この日本での出来事が結構ショックだったのでアメリカに帰ってからも、「女性が活躍して欲しい、女性が活躍している社会が当たり前になればいいな。」と強く思い、この経験もあり*JCWを設立しました。これから皆さんが女性としてのキャリアを積んでいく中で、失礼な人に会うかもしれませんが、負けずに歩んでください。
*JCW:2018年に北村さんともう一人の日本人女性が設立したアメリカNPO法人。世界で働く日本人女性の相互交流の場を提供しエンパワメントに寄与することで、全ての女性が自分らしく輝ける環境を築くことを目標としている。オンラインイベント等も行っている。
▲勤務先での国際女性デーの様子
22年間もアメリカで仕事を続けられているモチベーションや理由を知りたいです
「22年間続けられた。」というより、「気づいたら22年間経っていた。」という方がピンと来る感じですね。毎年、「気づいたらもう1年経っちゃった。」という感じです。1つの企業に22年間、勤め続けるのはアメリカでは割と珍しいタイプで、5,6年とかでキャリアアップを目指して別の職場にチャレンジしていく人が多いのですが、私の場合はサプライチェーンの下っ端から始めて、「これやってみる?」とか「このマネージャー職にチャレンジしてみる?」、「日本に行ってみる?」という風に、今まで考えもしなかったことを色んなタイミングで挑戦させてもらったので、「飽きが来なかった」という感じですかね。
やっぱり長い間、同じ場所で勤めていると、同僚がほぼ家族みたいになっていって、むしろ夫より多くの時間を費やしているほど仲がいいです。ただ会社に勤めていることに留まらず、自分のHistoryの一部になりますね。家族のような同僚のおかげで続けられているのかなと思います。
仕事に飽きているってわけではないけれど、長期間同じ会社に勤めてながら、JCWを作ってみたり、*UTDで教えるのも面白そうだなと思ってやってみたり、「自分が今勤めている会社以外にアンテナを張っていない。」というわけではないですね。
*UTD:The University of Texas at Dallasの略称。 アメリカテキサス州ダラスにある州立大学。科学と技術の研究に重点を置いている。
北村さんは、UTDsolv-Capstone Senior Project Journeyを担当する。ご自身の経験を活かして、キャリアの積み方や社会における倫理的な責任のある職業の選び方、リーダーシップの役割を教授する。
▲UTDで教鞭をとる様子
日本人女性が海外で働くために何が必要だと思いますか
皆さん基本的に優秀なので、「これが足りないから海外で働くのは難しい」というのはないと思います。「 自分でもできるんだっていう自信」と、「とりあえずやってみよう」っていう チャレンジ精神。それを持って、飛び込んでみる事が大切だと思います。
私の場合、そういう風に生きてきて今に至るっていう形なんですけども、とりあえず「自信を持って チャレンジしてみる」っていうことですかね。日本の「謙遜が美徳」という考え方を一旦取っ払って、自分をアピールできるように頑張っていくのがいいかなっていう風に思います。
海外勤務に憧れているのですが、大学院に行くか迷っています。北村さんは海外の大学院を卒業されていますが、大学院へ行くメリットはどういうところにあると思いますか?
アメリカでは大学院に行く人は少なくないです。将来、海外で働きたいとか、4年間で学べなかったことをもっと追求してみたいと思っている人は、絶対大学院は行って損はしないです。むしろ、そこでやっと海外勤務志望の人と同じ土俵に立てるという考え方もできるので、ぜひ目指してもらえたらいいなという風に思います。
人生がもう一度あったら、どんなことをしたいですか?同じようなキャリアを歩んでいると思いますか?
もし出来るなら出産とか育児とかを経験できたらいいなと思います。これは本当にもう皆さんに口を酸っぱくして言いたいのですが、子供を産めるタイミングというのは、長い人生の中でも限りがあります。今は子供がいないからこそフットワークが軽く、JCWをやってみよう、大学でちょっと先生をやってみようとか、色々な活動をしてますけれども、もし子供がいたらまた違う人生もあったのかなっていう風に思います。
▲勤務先で誕生日をお祝いされた時
▲改名前のDJCW。現在はJCWに。
JCWは度々イベントを開催していて、メンバーの皆さんも積極的に参加して楽しんでいるイメージがあります。このように活発的に活動できているのは、なぜだと思いますか?
出席者側さんと 主催者側さんの方で考えてみると、まず出席者側さんって 日本人だけど海外に何年も住んで、日本語に飢えている日本人同士の繋がりが欲しい方もいっぱいいらっしゃるんですね。そのような方々がJCWのイベント告知を見てくれて、「ちょっと参加してみようかな?」と興味をもってくれたりします。「いつものアメリカ人だらけの世界とはまた違う世界で、自分らしく楽しめそう!」と思っていただいて、そういう参加者の皆さんのおかげで活発的に活動ができてるのかなっていう風に思います。
次に主催者側の視点なんですけども、人間というものは「これをやってください」と責任を与えられたら、やっぱりベストを尽くしたい生き物だと考えています。何かをお願いされると、「よし、ベストを尽くしてやってみよう!」っていう風に感じると思います。その責任を持って行った仕事に対して「やってくれてありがとう!」「このイベント楽しかったです。」と言われたら、やっぱり嬉しいですよね。
そういうので主催者さん側も参加者さん側も楽しめてるのかなっていう風に思います。
▲JCW5周年パーティーの様子
普段リーダーシップをとる際、また運営する際、意識していることはありますでしょうか?ここが難しいなと思う点はありますか?
リーダーシップって一言で言っても、様々なリーダーシップの理論などがありますよね。
今日は「*最強の リーダーシップ理論集中講義」という本をご紹介します。ざっくり内容を話しますと、二つのリーダー像があって、一つ目は飴と鞭のようにバシバシ言って、先陣切って引っ張る感じ。もう一つは変革型リーダーシップって言われるのですけど、褒めて育てるみたいな感じ。「頑張ったね。」とか、「もっとできるよ。」とか、そういう風に沢山褒めるタイプ。
私としてもなるべく鬼コーチスタイルよりも最近言われているサーバントリーダーシップのような褒めて育てるスタイルのリーダーシップをやりたいなっていう風に思ってます。
*最強のリーダーシップ理論集中講義 小野善生著 日本実業出版社
Unlimitedや*PAW(SA)も含めて、JCWの学生支部が設立されていますが、設立した理由やきっかけはなんでしょうか?
JCWのミッションステートメントが世界で働く日本人女性を応援するということなんですけれど、既にすでに働いている人たち以外にも、いずれ近い将来に社会人になるであろう女子大生の皆さんも、社会で働いている女性の一人として支えていきたいなという思いがありました。海外に興味のある女子大生とも活動しながら繋がって支援できる方法を考えたときに、やっぱり学生支部っていうものがあった方が色々なコラボしながら活動もできるし、意見交換や活動の輪を広げることができるかなと考えて作ることにしました。
あとは学生時代を振り返って、学生と海外で働く社会人が繋がっている会があったら良かったなと純粋に思ったので、それ自分で作ろうという気持ちもあり作りました。
*PAW(SA):Professional Asian Women Student Associationの略称。JCWのThe University of Texas at Dallas支部。メンバーは、同大学生。JCWやUnlimitedとともにイベントを行う。
将来、海外で活躍したい女子学生に向けて、メッセージをお願いします!
海外に行ってみたいとか海外で活躍したいと思った時点で、皆さんは将来に向けて既に一歩踏み出してると思います。自分に自信を持って、その思いを実現できるように頑張っていって欲しいです。
またぜひ海外に行って、沢山学んで色んなことを経験して得たものを、いつか日本に還元してもらえたらと思います。今はオンラインも普及していますし、必ずしも日本に直接帰ってこなくても、リモートで日本をサポートするとか、従来よりも色々な方法でより多くのことができるのではないかなと考えています。
現在アメリカにいる私も、こうやって日本の皆さんとオンラインで繋がって、一緒にイベントを開催したり相談に乗ることができています。何かしらの私の知識や経験を日本の皆さんに還元して、次の世代にバトンを渡すようなお仕事ができていたらいいなと日々感じています。
今、日本は既に超高齢化社会で労働人口も減少していて、日本という国の未来が危い状況にあるので、皆さんもそのような形で、海外で経験したあれこれを日本に還元していただけたら嬉しいです。ぜひ海外に行った際は、沢山の人に会ったり多くの場所を訪れたりして、学んで得た知識や経験を日本に還元して、皆さんと一緒に日本という国を良い国にしていけたらという風に思います。
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